Work Records

日々の作業記録です。ソフトウェアエンジニアリング全般から、趣味の話まで。

エンジニア職と株式投資


エンジニアが株式投資を考えることについて

自分の観測範囲だけかもしれませんが、投資について話をするエンジニアは少ないように思います。最近の売り手市場感からいえば、一般平均以上は給与をもらっていると思うので、 単にそういった手の話を公にすることが憚れているだけかもしれませんが。

まあそれはどちらでもいいのですが、アメリカの時価総額ランキングの上位をほとんどがテック企業が占めている現在の状況で、エンジニア職であることは投資的観点においても非常に恵まれていると感じています。
具体的には、以下のような観点をエンジニアであれば持つことができるからです。

  • あるテクノロジーが何かの業界にブレイクスルーを起こしうるかどうか
  • 注目のサービスには実はあるコア技術が隠れている
  • 新興企業の技術力がどの程度なのか

また、別観点で言えばエンジニアは常にスキルをアップデートしていく必要があり、なんの技術を習得するか?ということがある意味では自身に対しての投資になるので、そこの技術選定を正しく行うためにもビジネスとテクノロジーの関連については敏感になっておく必要があるとも思います。


NVIDIA

テクノロジーと株価の関係が非常にわかりやすいのがNVIDIAだろうと思います。それこそ、テクノロジーを知らなければ謎の半導体メーカーなどと呼んでしまいます。

直近5年の株価を見てみると、素晴らしいくらいの右肩上がりと2018年の暴落になっています。
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右肩上がりなのは良いですが、肝心なのはテクノロジーを理解していれば、このNVIDIA株を値段が上がる前に買えるかどうか?という点になります。

第一参入期 AlphaGo

NVIDIAGPUの会社なので、もともとはゲームなどグラフィックを処理するための特殊なプロセッサを作っていました。ところが、このGPUディープラーニングにも利用できることがわかったのが最初の参入期になります。

詳細は省きますが、AI技術の実用化の一つのブレイクスルーがディープラーニングという手法が確立したことですが、このディープラーニングの計算を可能にしたのが、多重の行列計算を現実的な時間内で完了できるGPU、という関連です。

このディープラーニングが世間の注目を集め、実用化ができてきたなという出来事といえばAlphaGoではないかと思います。

Wikipediaより。

2016年3月、韓国棋界で「魔王」と呼ばれる世界トップ棋士の一人の李世乭と戦い、4勝1敗と勝ち越した。

gigazine.net

つまり2016年3月時点で以下の考察ができます。

特に技術が理解できる、技術について調べることができる能力があれば、三つ目以降の考察も可能ではないかと思います。
この時期に参入していれば将来$400近くまで上昇する株が$40程度で買えたことになります。

とはいえ、結果から考察しているだけなのでそんなに簡単な話ではないですが、技術を知っていれば確度が高くなることは間違い無いと思います。

第二参入期 仮想通貨

二度目の参入時期は、仮想通貨ブームではないかと思います。つまり、2017年の初頭から中頃まで。bitcoinの3年チャートを見るとこんな感じ。
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こんな感じで考えられていればこの時期にNVIDIA株に注目できていたと思います。

  • 仮想通貨がなんとなく流行っているっぽい
  • ほとんどの通貨はPoWという手法を利用している
  • PoWには多くの計算が必要でそこにGPUが利用されている

ということで、ここがNVIDIA株参入の第二期目だったかなと思います。

ちなみに面白いのは、bitcoinの価格ではなくPoWに費やされている計算量(hashrate)とNVIDIAの株価の方が相関があるという点ではないでしょうか。仮想通貨の価格が暴落した2018年1月ではまだNVIDIA株は落ちずに保っています。
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つまり、

  • 仮想通貨全体が冷え込む
  • マイニングによる利益が出ないラインまで価格が落ち込む
  • GPUの需要が減り、NVIDIA株が下がる

といったストーリーになります。

ただし大局も見ないといけない

一応触れておくと、アメリカ株は2017年から2018年末にかけて、特にテック系株は順調だったのでそういった影響もあったとは思います。
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こういった全体感はちゃんと押さえておかないと参入時期を間違えるので一応は押さえておいた方がいいです。


では次は?

NVIDIAの例を元に見てきましたが、結局大事なのは、じゃあ今何を買えばいいの?という点かと思います。

VR / Oculus Go

いくつかあると思いますが個人的に考えているのは、VRです。VRについては何年も前から実用化に向けて色々な取り組みがありましたし、色々なアイディアを耳にしてきましたが、相当実用化してきたなと感じたのが、Oculus Goでした。
gigazine.net

まず非常に価格が安いことと、実際使ってみると多少の画質の悪さはあるものの十分コンテンツとして楽しめるなという感じを受けました。
AlphaGoがプロ棋士に勝ったことや、仮想通貨が流行り始めた事と同種の出来事ではないかと思います。

ここからがエンジニア的に考えないといけないところだと思いますが、VRを実現するために大切なものは小型GPUと5Gかなと考えています。

小型GPU

Oculus Goを見てわかるようにVRバイス自体がかなり小型化していますし、今後普及するためにはもっと小型にしていく必要がありそうです。一方で、VRコンテンツは当然非常に多くのグラフィック処理が必要になるので、高性能で小型のGPUを作ることができる技術が重要になります。

5G

今後、VRバイスが単独でネットワーク接続できないことはあり得ないので、非常に大量のVRコンテンツを通信するための5Gも注目したいところです。5G技術自体はすでに確立していてどう広まっていくかの段階なので、必要なチップや、基地局系の企業が注目されるのではないでしょうか。

まとめ

エンジニアならではの視点で、成長する技術について着目できるのではないかと考えこのブログを書いてみました。

ただ、一方で技術に対するアンテナを高くキープする一つのインセンティブとしての株式の売買益ってのはありな気はします。どんな目的にしろ最新技術をキャッチアップし、技術と社会・ビジネスをしっかりと関連づけられる思考能力が一番重要です。